「一年で一番大切な日」　by.京香

高耶さん。あなたの欲しいものはなんですか？ 『…え？　ほしいもの？』 えぇ。今日は、あなたの誕生日ですからね。 『あっ…』 高耶さん、あなたが欲しいものならなんでもあげる。 空も海も風も。 『空も海も風も……？』 えぇ。空も海も風も。花も雲も光も夢も………愛も。 『……愛も？』 えぇ。あなたが望むのなら愛も。 『愛もくれるのか？　たった一つしかない、お前の愛も』 たった一つしかないからこそ、あなたに。 『オレに……』 えぇ。あなたを愛しているから、私の永遠の愛をあなたに。 『おまえの永遠の愛をオレに……』 えぇ。 そう言って、誓いのようにキスを交わした。 あなたは少し照れくさそうにしていたけれど、その瞳が熱く潤んでいたのを覚え ている。 私が告げた言葉に、あなたはどれだけの感慨を受けたのだろうか。 あなたは決して語ろうとはしなかったが、私は自惚れてもいいのだと思っている。 今年も、あなたの誕生日が巡ってくる。 あの日のようにあなたの声を聞く事はもう出来ないけれど、私は寂しいとは思わ ない。あなたは常に私の側にいて、同じものを見て、聞いて、感じて、そして、私 と共に歩いているのだから。 ねぇ、高耶さん。私はあなたに出会えて本当に良かったと思っているんです。 初めは互いに反発して、相手を理解しようなんて思いもしなかったけれど、それ でも、そんな辛く苦しい道のりを越えたからこそ、今の私たちが存在しているん です。 愛しています。あなたを。何度でも誓える。 この気持ちが色褪せることなく、続くことを。 ７月２３日。 一年で最も暑い夏の日。 「来年も再来年も、お祝いさせて下さいね」 高耶さん。 お誕生日、おめでとう。

えっと、直江のBD用に書いた「誕生日」と対になっている感じのお話です(^_^;) 上の方で出てきた文は、ある方の歌から使いました。

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