直江BD合わせお題「緑玉」 by.真波さん


晩春のさなか、昼下がり。
思わず昼寝をしたくなるような気候のリビングで、高耶は床に転がっていた。
南向きのリビングは日当たりが良すぎて、じかにフローリングの床に寝ころぶく
らいが丁度良い。
ソファでコーヒー片手に読書にふける直江を見やって、高耶は寝返りを打った。
その拍子に、口の中に含んだ飴玉が喉の奥に転がりかけてむせかえる。

「高耶さん、大丈夫ですか?」
「うぅ・・・」

ころり、口の中で存在感を示す飴玉は、甘ったるいメロンソーダの味を振りまき
ながら溶けていく。
小さくなったそれを、苛立ち紛れに噛み砕く。
しかし、無くなってしまうと後を引く甘さが妙に口寂しい。

ごろり。
もう一つ転がって小さな硝子瓶に手を伸ばした。

「食べ過ぎじゃないですか?」
「いいんだよ。たかが飴の一つや二つ」

口先でじゃれあいながら、軽いアルミの蓋を捻ってあけ、緑の粒を手のひらに取
り出す。
高耶は転がり出た爪先ほどの小さな緑の宝石を一粒、真顔で直江に差し出した。

「お前も食うか?」
「結構です」
「いや、食え」
「嫌です」
「頑固者」
「どっちがですか」
「もういい」

諦めたのか、ぱくりと飴玉を自分の口に放り込んだ高耶に、直江は苦笑した。

「最初から自分で食べればいいでしょう」
「ふん」

それきり大人しくなった高耶から意識をそらし、直江は本に視線をおとす。
どこまで読んだかな、などと思いながらページを少し戻し、読み直す。



いきなり本が消えたかと思うと、目の前に高耶が出現した。



「たまには甘いモノも食ってみろっての」

挑発的な笑みと共に、しっとりと口づけられる。
随分とキスに慣れたな、などと暢気なことを考えていると、唇の間に甘い粒がね
じ込まれた。
それは直江の味覚からすると酷く甘すぎた。



「よし、食ったな」
「何なんですかいったい」
「秘密」
「…そうですか」


拗ねるなよ、と小さく呟いて、高耶は直江の隣に滑り込んだ。


「ほら、プレゼントってインパクトだろ」
「脈絡を考えて喋って下さいね」
「お前の誕生日」
「そう言えばそんな行事もありましたね」
「アホだろうお前。で、誕生石贈ろうかと思ったけど飴玉の方がインパクト在る
だろ。どうせ見かけは似たようなもんだし」
「・・・なるほど」


言葉でじゃれ合いながら、そろそろと身を寄せてくる高耶の髪を撫で、直江は読
んでいた本を閉じた。
そして幾分細めの腰に手を回して抱き寄せる。

「オレ、抱き枕?」
「俺専用のね」
「んじゃお前はオレ専用の布団な」
「喜んで」

闇色と琥珀色の瞳を見交わして、二人はそっと口づけあった。








「インパクトとかそんなものは考えなくていいんですよ。あなたが居れば、それ
だけで俺にとっては一番嬉しいプレゼントなんですから」





fin.


ギャー!真波さん〜〜!!待った甲斐がありましたよ!!
今時風の高耶さんがツボに来ました!そしてそして、慣れたようにキスする高耶さん〜〜!
うわー!想像すると、顔がニヤけますvあまいけど、コテコテじゃないのがいいですねっ。
真波さん、素敵な作品をありがとうございましたvvv
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